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コラム
第2回 【統制】

20100212.jpg株式会社メップス、代表の山崎です。このコラムでは「マーケットに対する生産システムの付加価値開発をどのように考え取り組むべきか」を論点に綴ってまいります。テーマは生産プロセス固有の「収益性とコストの関係」「生産システムの生産性」「生産計画と推進管理化」「生産システムの価値概念」の4つです。筆者の体験を通して気づいた点を報告致します。皆様の御参考になれば幸甚です。

今回、第2回の表題は【統制】です。

生産活動を上手に推進するためには各部門の生産機能へのニーズを統制し、最良な管理状態の下に組織全体を統制することが大切です。製造業において生産システムを構成する営業・製造・設計・調達・物流の各部門の間を統制するということになります。マーケットに対しこの運用を最大限にうまくやってこそ、生産システムの付加価値開発能力を上げ、企業収益最大化に貢献するということとなるのです。

■製品群全体の生産性の向上を目指した生産品目体系を構築する
■生産プロセスの設計による生産性を向上させる
■生・販・在の管理サイクル運用基準を向上させる(稼働率最大、生産機会・販売機会逸失撲滅・在庫適正化)
■リードタイム等の競争優位性を向上させる  他

具体的にはこういった統制が経営に対する生産部門のミッションの大きな項目であり、生産機能強化のための概念の1つとなります。

変種変量、グローバリゼーションの進展、多様化等、激しいマーケットの環境の変化が生産システムのコントロールを難しくしている中で、各企業とも大変ご苦労されているのが実態と考えます。そういった中でも各部門の部分的な最適解を求めず、コストの視点から体系的に事業全体を考え、部門間を統制し、最適解を求めれば、おのずと生産システムの付加価値開発能力は上がっていきます。

しかし、このことが企業内で中々うまくいかない場合も多いと考えます。その理由として、部門間に存在するコストの見方の違いがあります。例えば、営業と製造です。営業部門では都度もしくは初回納入に当たって、見積もりを行って価格交渉をします。営業部門の捉えるコストは製品毎単品当りです。これに対して製造部門ではマーケットの需要量、設備稼働、生産構造、生産品目体系を鑑みた工場のトータルコストです。

生産部門のコスト効率を最良に推進するためには、諸部門に生産部門のコスト構造やその実態を正しく伝達する。そして諸部門の活動とコストの関係を認識していただき、組織全体最良案への管理状態を再構築することが肝要です。

企業内に生産・販売・在庫会議という会議体がある場合があります。これはこの統制を目的とした会議体です。筆者もある企業のこの会議体に出席させていただいたことがあります。営業・製造・設計・調達・物流のメンバーがコストの実態を共有した上でマーケットに対する部門間コントロールをかなり良好にされておりました。ある新製品に対して、販売計画の量の不足で標準原価をとれないとわかると企画と生産プロセスの見直しの指示が即刻、出ておりました。

企業によく見られる縦割りの機能別組織形態の中で、生産システムの付加価値能力を高めていく、そのためにはシステム統制基準を決め、会議体等で部門間統制と利益の関係を把握・共有化していくことが重要であると考えています。

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