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第7回 【質】

我が国の景気は長引く円高・震災等の影響で、回復基調も鈍り、下方修正される状態になっています。また、デフレは継続し、その出口は遠いものになっています。一方、中東地域の情勢等の影響もあり、原油・資材の調達コストはかさむ傾向にあります。製造コストの上昇、デフレ圧力等による売価の低下、減産、この3つが相まっています。つまり、売価・コスト・収益の連鎖が非常に不安定であり、マーケットにおけるコスト競争力の強化が非常に難しい状況にあります。

一方で汎用型のビジネスモデルの製品を中心とした海外への生産移管という環境の急速な変化があります。そのスピードに工場の『質』創りが付いていけず、その水準を維持できない状況が国内・海外の工場で見受けられます。

生産システムの『質』を決める要素は次の4つではないかと思います。

 

1,業務機能と仕組み

生産システムを構成する各業務機能(製造、生産企画、設計、営業、調達、物流、管理等)、及びその各業務機能間を繋ぐ仕組みのことです。仕組みとは例えば、生産システム全体の基本構想案を作る、生産プロセスをデザインする、受注に対して生産・販売・在庫のコントロールをする、推進管理のための基準を作る等々の部門間を繋ぐ仕組みを示します。生産システム全体の中で機能や仕組みに漏れや抜けがないように設計されることが必要です。そして各機能や仕組みのミッションや管理する対象、仕組みからのアウトプットが明確になっていること、そして、それにもとづいて各担当がその役割を果たしていることが必要です。


2.技術

付加価値開発技術のことです。一般的には製法開発技術、生産技術、管理技術等々で呼ばれます。部門間の協創の中で良質廉価を目指し、お客様と価値を共有するために、全身全霊でこの技術の向上し、コンペチターに対する優位を目指すことが必要です。

 

3.管理

生産システムにおける管理サイクル(PDCA)のことです。管理損失が発生するであろうすべての項目に漏れないよう基準が設定され、実行に対し損失量やその要因の発見が行われる、実態の把握の上で適切な改善や開発がおこなわれる、そのような円滑な活動の基本体のことです。管理サイクルの目的は生産資源(人・設備・時間他)の育成を図ることです

 

4.人材

生産システムの『質』を高めていくのは生産システムに携わる人に他なりません。これからの人材育成・能力開発は、不可欠です。「経営は人なり」というが人の育成が工場の『質』を決めるといっても過言ではありません。特に重要なのは、工場のマネージャーの職階における認識です。

 

以上のように生産システムにおける業務の『質』の強化が今のポイントであると感じています。こういったことを実行する努力が、時々刻々変化するマーケットに対し、コスト競争力を高める強い体質へ導くのです。現在のような環境だからこそ、ぜひ、果敢に取り組むべきと思います。皆様の遂行を期待して止みません。

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